2011年6月26日日曜日

ダブルライセンス

検査技師の学校の同窓会でダブルライセンス取得者が話をすると言うことで、私は超音波検査士の立場から、超音波検査の話をする機会を頂きました。

テーマは任せます、と言うことだったので、何を話そうかなぁ...と思いながら、やはり乳がん検診における超音波検査の役割を話すことにしました。
それにはやはりJ-Startの話は切っても切れません。


対策型の検診には現在超音波は含まれていないこと、閉経前と閉経後の乳腺の違い。MMG、US画像を比べながら閉経前に罹患患者の多い日本でMMG検診だけでじゅうぶんなのか?ということ。J-Startの話。検査者依存性の高い検査だからこそ検査者の精度管理が必要ということ。超音波検査士やJABTSが行っている実力試験などの話。

本当は実際の画像をたくさん使って話をしたかったのですが、持ち時間は10分と言うことでかなりスライドを削り、テーマであるライセンスの話に重点をおいて話しました。


少しでも乳腺超音波検査のことがわかってもらえたでしょうか?


同じ検査技師でも、他の方々の話のライセンスについて知らないものもありました。
同じ検査技師でも、領域が違えば知らないことも数多くあり(恥ずかしながら...)いろんなところで活躍されているんだなぁ..と感心しきりでした。


いろんなところで、多くの人が頑張っています。

明日もまた、頑張りましょう。


今日より、良いことがある明日。


2011年6月25日土曜日

乳房超音波検査の楽しみ方


超音波検査はいろいろな領域があります。
腹部、心臓、甲状腺、頸動脈、血管、関節、婦人科...などなど。

私が実際携わっているのは、このうち腹部、頸動脈、心臓ですが、どうして乳腺超音波にこんなに興味をもったのかなぁ...?と考えたりすることがあります。


おそらく乳腺は人それぞれ違い、同じ人でもホルモン周期によって多彩に変化して行く不思議な臓器です。(私はやらないけど、きっと婦人科領域もそうかな?)そんな色んな顔をもつ乳房超音波に惹かれたのかもしれません。

細胞診と比べ、病理と比べ、MMGと比べ、MRIと比べ...色んな検査と比べ、他職種の人とディスカッションできるのも面白いのかもしれません。


他の領域でもディスカッションすると良いのでしょうが、たまたま私の働いている環境では乳腺領域は話がしやすい先生が多かったのかもしれません。


好きになることが上達の一歩だと思っています。
他の検査を知り、比較し、より深く知ることで、また自分の仕事が好きになれたら良いと思います。


一歩ずつ、がんばりましょう。



2011年6月20日月曜日

人に伝える画像

時々聞かれることがあります。
所見を読んで、C4とした後に病理結果を聞いて悪性だった場合...

『悪性だったから、C5ですか?』


「.....」



答えはNoです。
もちろん、その画像をみて、C5と言える所見を拾い上げることができれば、(他に思い浮かべる良性疾患がなければ)いいと思うのですが、悪性だからC5と言う訳ではないと思うのです。


カテゴリー分類とはなんでしょう?

使わなくても、良いと言われる先生もいらっしゃいます。
1人で検査をして、1人で診断をして、誰にも見られることがないのなら、あるいは必要ないのかもしれません。
どう思って検査をした。何を疑って検査をした。それらがすべて言葉で書いてあれば良いのかもしれません。
それを、簡略化して分類分けしたものがカテゴリー分類だと思うのです。

同じ判断基準で分類をすることで、比べることができるものがあると思うのです。

以前、カテゴリーは自分がどう思ったか、人に伝えるメッセージと言われた先生がいらっしゃいました。

より悪性を疑う所見を拾うことができれば、カテゴリーは上がります。
カテゴリー判定する為に重要な所見があります。
前方境界線、ハロー、内部エコー、後方エコー、点状高エコーなどなど...
それらを見た時は、第3者に伝わるような画像を残さないといけません。

ハローありと判断すれば、ハローが見える画像を残す。
前方境界線の断裂があれば、断裂の画像、点状高エコー、のう胞内の充実部の立ち上がり、判断したものは自分が判断したような画像を残すことがとても大事だと思うのです。

フリーズのボタンを押す瞬間はとても大切です。(シネメモリもあります。)
押した後ちゃんと画像に自分の思い描いた画像になっているでしょうか?

画像検査って難しいですね。


自分の思いを人に伝えられる画像を残したいものです。



2011年6月19日日曜日

FEA(Flat epithelial atypia)ってなんだ?

年に2回行われる「乳腺診断フォーラム」に参加してきました。

各施設の症例検討と、特別講演が行われます。
今回の特別講演はデジタルマンモグラフィーについてで、専門的なことまではよくわかりませんでしたが、アナログとデジタルで画質が変わり、見えていたものが見えなくなったり、画質の調整が大切なんだと言うことを感じました。

そう言えば、MMG読影講習会ではフイルムで教えてもらって(虫眼鏡持って...)理解できたような気になって、職場に帰りモニターに映し出されている大きくなった画像を見るので、ピンと来なかったことを思い出します。


ところで、症例検討の方で出ました、出ました。
FEA(Flat epithelial atypia)

本当に最近よく聞くんです。勉強会などに行くとわかりにくい症例などのときに最後の病理解説でFEA

なんでしょう?これは、いったい。

FEA は乳がん前駆病変とされており、乳管内増殖病変の中に分類されているようです。
Flat typeの病変をcolumnar cell lesionとし、その中のcolumnar cell hyperplasia がFEAに該当するようです。

この辺から、だんだんややこしくなってきます。私も頭が混乱します。
機会があるたびに先生に聞いたり、ネットで調べたりした自分の解釈です。
間違っていたらご指摘下さい。


要するに、乳管内に増殖性の病変が出来ている。過形成で異形も強いけれど、がんとは言えない。でも将来がんになりそうだ。と言う感じなのだと思います。
がんと言えたら、DCISとなるのでしょう。(きっと)

すると、正常乳管→ちょっと増殖→すごい増殖(過形成)→異形が強くなる→癌?→癌
こんな感じなのでしょうか?

最近よく耳にするのは、どうしてかな?と思っていたので、せっかくなので質問してみました。
「画像検査の精度が上がった為に、微妙な変化を見つけることができるようになり、見つかる機会が増えた。もしくは、女性の体になんらかの変化があり増えてきているのか?」

病理の先生が3人答えてくださいました。
昔からあったように思うと言われる先生と、最近確かに増えてきていて、女性の体に変化があるのでは?言われる先生とでした。

ふむ。


おそらく、はっきりとした答えはなく、両方の可能性があるのだと思います。
画像検査の精度があがり、早く発見できるのと、女性自身に何らかの変化。

画像検査をしている以上病理検査は切っても切れない間柄で、本当に勉強しないといけません。勉強すればするほど、わかったような、よりわからなくなったような...の繰り返しです。

私の職場は検診施設なので、病理がないのが残念なのですが、こうして機会があるごとに質問を続けて行きたいと思っています。


やっぱり、難しいです。

そして、flat epithelial atypiaって言いにくいんですよね〜。
質問の時もつっかえちゃいました。(^^;;



こんなに、大切な病理なのに、実は病理医が不足しているという事実もまた、忘れては行けませんね。





2011年6月13日月曜日

乳房超音波精度管理ファントム

再開しますと言った割には、なかなかup出来ずにすみません。

この時期は、何かと行事が重なって...(←言い訳ですね ^^;;)


さて、タイトルにも書きましたが、みなさま『乳房超音波精度管理ファントム』と言うものをご存知でしょうか?

「知ってる!」「使っている!」と言う人と、「本で見たことあるけど...」「知らな〜い」と言う人に分かれると思います。
JABTSの講習会に参加したことのある人は、知っていると思います。
書いて字の如く、超音波の精度管理用のファントムです。

超音波に精度管理?と思う人もいるかもしれません。
確かに他の検査に比べて数字で出ない画像検査は精度管理が難しいとされています。
技師会などで行うコントロールサーベイなどありますが、これはどちらかというと生理検査部門では検査をする側つまり私たちの読影能力をチェックするものです。これももちろん大事なことです。

画像は好みも人それぞれだし、確かに画質も違いますが、だからといって精度管理が必要ない訳ではありません。
乳房超音波は1㎜単位の細かい変化を見て行くので、機械の劣化が見落としにつながることは間違いありません。
そこで、機械の管理に必要なのがこのファントムです。
超音波の機械は分解能が重要になってきますが、方位分解能、距離分解能などなど、色々チェック項目があります。
1ヶ月ごと、半年ごと、1年ごととそれぞれ撮像方法があります。
こういった管理をすることで正しい検査が行われている指標にもなります。


ただ、このファントム非常にお高いものになっています。
乳腺専門の施設なら必須だと思いますが、実際もっている施設は実は少ないような気がします。わかっているけど、やっていない...と言うのが現状でしょうか?

各施設で持つことが理想ですが、高いのでメーカー保守にお願いするのも良いと思います。(メーカー保守もお金がかかるけど...)
もしくは関連学会(JABTS、乳癌学会、乳癌検診学会など)が貸し出しを行い、検査を行っている施設必須にするとか?(非現実的?)
もう一つは...各自治体などで買い、その地域の施設に貸し出し、精度管理をする...とか?(これも、非現実的か...)

そして、また検査装置の基準には「規定のファントムで所定の画質条件を満たすこと」となっていますが、では、満たさなかった場合、すぐに機械を買ってもらえる施設ばかりではないように思います。超音波の機械も高いですから、買うと次の更新までは予算も難しいでしょうし...なかなか難しいのでしょうか。


でも、やはり画像、機械の精度管理はとても重要なことです。
やったことない施設は乳房超音波検査をしているのなら、やはり、メーカーに頼んでしてもらってみるのもいいと思います。


ファントムをあつかっている京都科学さんのサイトです。

京都科学


機械も人も正しい管理をして、精度の高い検査をしたいものです。


ちょっと、長くなりました。すみません。